自分だけの小さな店。
お店を”持つ”こと自体は簡単、そういいました。しかしそれはもちろん、今振り返ってみると・・・です。
いざお店を作ろう!と思ったものの、何から手をつけたらいいのか分からない。わからないままひとまず物件を探し始めました。
いくつも物件を見て回り、ひとつの物件が心に引っかかりました。新築で駅からも近い。でも、落ち着いた通りにあるちょっと和風な雰囲気の物件でした。
何もない空間から見える外の通り。なんの変哲もないただの通り。でも、この景色を見たとき ”俺はここで頑張るんだ。” なぜか自然にそう思いました。
”パーソナルトレーニングなんていきなり売れないだろう。” 弱気な自分はそう考え、マッサージ屋さん(整体)をベースにヨガとか体操教室的なものをやろうと思いました。
内装工事もどこにお願いしたらいいのか分からない。とりあえず不動産屋さんに相場をお聞きしました。すると・・・
”500万円くらいです。”
”え?!”
私の予算では到底無理な数字。一旦あきらめました。しかし・・・
”300万円くらいでいけそうです。”
後日不動産屋さんから連絡がありました。まあ、そのくらいならなんとか・・・と、とりあえず話をもう一度聞きにいきました。
なんと、相場をお聞きしたつもりがいつの間にか店舗の図面が出来上がっています。
”この内装で300万円です。”
え?!いやいや・・・相場をお聞きしただけなのに。とりあえず図面を見せてもらうことにしました。そこにあったのは、典型的なよくあるマッサージ屋さんという内装。
”え?!いや、こういうのじゃないんです・・・”
”じゃあ、どういうのだったらいいんですか?!いくらならいいんですか?!”
なぜか不動産屋さんに怒られてしまいました。この時ばかりは許せず、私も怒鳴り返してしまいました。
今思えば、あの図面の通り作ってもらっていたら一年と持たず潰れていたでしょう。どこにでもあるマッサージ屋さん、他に使い道のない内装でした。
自分がイメージしていたものはそうではなかった。からだのケアもトレーニングも出来るように、必要な時に必要なように変化がさせられる、逆に何も作りこまない空間にして欲しかったんです。
”自分で内装業者は探します。”
そういってはみたものの、それすらどうしていいのか分からない。ふと、お隣を見ると雰囲気のいい美容院さんでした。
”こんな感じにして欲しい。お隣同士、近い雰囲気なら違和感もない。”
早速お隣を施工した業者さんを探し始めました。運よくその業者さんを探し当てました。その方は美容院を中心に内装を請け負っている方で、その当時独立して事務所を構えられた頃でした。
小さいお店でしたが、何度も何度も打ち合わせして、一つ一つ決めていきました。今思えば、本当にワクワクした時間でした。
”これでいきましょう。”
図面が完成して、いよいよです。しかし、ここで私は重大な間違い、順番を間違えていることに気付いていませんでした。