ジム・スタジオが出来るまで

灯り|ジム・スタジオが出来るまで⑥

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お客様は『箱』につくもの。

マッサージや美容院など、指名・担当などがある仕事でよく言われます、お客様は箱つまり店についているんだと。

とかく、自分の担当しているお客様は自分についてきてくれているんだ、と思いがち。『きっとついてきてくれるだろう。』そう思って独立して痛い目を見た、という話はよく聞きます。

『ゼロから頑張ろう。』

そう覚悟してお店をオープンしました。そう覚悟していました。それでも・・・

一日誰とも話さない。一週間ほとんど仕事がない。

フィットネスクラブでは自分の担当しているお客様も多く、施設はいつも会員さんで賑やか。それが一変しました。少し薄暗い店内に、毎日一人ポツンと座っていました。

『どうしよう・・・』

こんなに自信を打ち砕かれたのは人生で初めてでした。フィットネスクラブ時代、セッション数は店舗でも1番か2番。それがこの有様。プライドなんてあっさりへし折られていました。

毎日色々な事を考えました。色々な事を試しました。まさに”命がけ”の気分でした。

そんなある日、フィットネスクラブ時代お世話になったお客様が遊びにいらしてくださいました。嬉しい反面、今の状況を知られるのは少し辛かったです。

開店のお祝いや近況をお話しているうちに、お客様がふと・・・

『誰も来ないですね。電話一つ鳴らない。』

心をえぐられるような一言でした。

『ええ、でも私はここにいます。ここにいるしかないんです。』

とっさに私の口から出た言葉に、お客様は驚かれたそうです。

のちにお聞きすると、フィットネスクラブ時代多くのお客様に囲まれていた私の印象しかなかったので、開店したお店もすぐにお客様で賑わっているのを予想されたのだそうです。ところが、あまりにさびしい状況を見て心配で思わずそうおっしゃったのだそうです。

あまりにさびしい状況。それなのに迷いもせず『ここにいるしかない』そう私が言い切ったことにびっくりしたそうです。もう逃げ場はない。ここで頑張るしかない。自信もプライドも無くしながら、それでも自分は覚悟していたんだと思います。

もし自分がこのお店からいなくなれば、お店に ”灯り” がともらない。暗く人もいない、そんなお店には誰も来ないだろう。そう思った自分はチラシさえ配りにいかず、ひたすら待ち続けました。

『誰かがお店の事を聞きたいとやってきてくれたのに、誰もいなかったら申し訳ない。』

ひたすら・・・ひたすら待っていました。

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