ジム・スタジオが出来るまで

おばあちゃん|ジム・スタジオが出来るまで⑧

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最初の小さなお店がオープンしてしばらくした頃の事でした。

『なに?このカウンター!大丈夫なの?!』

そう言いながら、おばあちゃんがカウンターを揺すりました。

『うわ~!ちょ、ちょっと』

今でこそ簡単な店舗の内装まで出来るようになりましたが、最初の頃はカウンター一つ作るのも深夜までかかってました。

ようやく作ったカウンターをそのおばあちゃんは『んもう!こんなんで大丈夫なの?!』と言いながら手でガタガタさせてみせました。

その数日前・・・

『どう?元気にしてる??』

フィットネスクラブ時代お世話になったおばあちゃんから電話が。

『はい!何とかやってます。もうすぐ潰れるかもしれませんが・・・』

オープン当初は本当に不安で、よくそんな風に話してました。

『なぁに冗談言ってるわ。どの辺だったっけ?』

スタジオの場所を伝えると、数日後そのおばあちゃんが訪ねて来てくださいました。

『こんなところに(お店)出したんだ。ずいぶん迷ったじゃない!』

『あ、え?!ごめんなさい。』

『お客さんはいないの?!大丈夫?』

そして、カウンターを揺すり始めたんです。決して意地悪なわけではありません。下町の方らしい、ちょっと手荒な挨拶・冗談でした。

一週間後、またそのおばあちゃんはいらっしゃいました。今度は手に何かを持って。

『ほら。』

そう言って渡してくださった袋の中にはパンがたくさん。

『あたしゃパンは食べないから、おいしいかどうかわからないよ。』

なんて言いながら。

お元気な方ですが、年配の方が隣の駅とはいえわざわざ電車に乗って。そしてお店を探しながら歩いて・・・実際、結構大変だったと思います。

ちょっと手荒な挨拶も、心配してくれているからこそでした。

『もうちょっと近かったらねぇ・・・』

『〇〇さんにも言っておいたんだよ。』

『ちゃんと食べれてるのかい?』

一生懸命、私のお店と私のことを心配してくださってました。親心でしょうか。ちゃんとご飯食べていけてるのかしら?と心配してくださったようで、また次にいらした時もパンを片手に・・・

『いつもすみません。ありがとうございます。』

『そろそろお客さんが来るよ。あたしゃ人を呼ぶんだから。』

誰もいないお店に入ったら、自分の後からどんどんお客さんが入って来ることがよくあるそうです。

『そうなんですね。だといいんですが。』

『大丈夫だよ!』

実際にお客さんが来るかどうかより、その気持ちが本当に嬉しかったです。

『じゃあね。また来るね。』

そう言っておばあちゃんは帰っていきました。すると・・

『プルルル・・・プルルル・・・』

お店の電話。お客様からのお問い合わせでした。

『すみませ~ん。』

今度はお店の戸を開けて入ってきてくださった方が。

・・・ホントだ。

おばあちゃん、ありがとう。

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