トレーナーとしての思い

ゴールとスタート③

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『いいんだよ。やりながら覚えるんだよ。』

社員さんの少し強引な一言で、私はパーソナルトレーナーとしての活動をスタートさせました。

当時フィットネスクラブに所属しているパーソナルトレーナーは、大きく分けて二種類の活動形態がありました。

1)フリー=個人事業主としてフィットネスクラブと契約をして活動。売り上げの60~80%が自分の収入となるケースが多い。

2)アルバイト兼任=アルバイトスタッフとして雇用されながら、パーソナルトレーニングを提供。時給+歩合のケースなど、クラブによって変わる。

私は2)アルバイト兼任からスタートしました。

フリーの場合、トレーナーによっては週に一度しか私が所属していた店舗で活動していないとか、例えば午前中だけとか活動時間が短いトレーナーもありました。むしろ複数店舗で活動するトレーナーの方が普通でしたので、お客様によっては自分の担当トレーナーに一週間会えないということも珍しくなかったんです。

『〇〇トレーナー今日はいないよね?〇〇トレーナーにこの種目やるように言われたんだけど、どうやるんだっけ?』

アルバイトスタッフだった私は、よくお客様からそんな風に声を掛けられました。もともとトレーナーになるのが目標でアルバイトを始めた私でしたから、自分がわかる範囲でお客様にお伝えしていました。

『たぶんこうだと思うけど、次回また〇〇トレーナーに確認してくださいね。』

先輩トレーナーのフォローが出来るのも、トレーナーの仕事をちょっと擬似体験できるのも嬉しかったんです。

そして・・・『そうか、お客様からしたら、自分のトレーナーになかなか会えないのは不便なんだな。』そう気付きました。

アルバイトと兼任ながら、徐々にトレーナーとしての時間を増やしていった私は、なるべくお客様が迷わないようにトレーニングメニューを紙に書いてお渡ししたり、可能な限り店舗にいるようにしていました。

その時は意識していませんでしたが、この ”トレーニングメニュー表” は、お客様にとって大きな意味を持っているのを後に知りました。そしてそれは、いわゆる “口コミ” を起こしてくれるのだということも。

私のお客様がメニュー表を見ながらトレーニングをされていました。そこへお友達の方がやってきて・・・

『あら?何それ?』

『あ、これ?トレーナーさんが書いてくれたの。』

『へ~わかりやすくていいわねぇ。』

そんな会話をされてたんです。嬉しそうにメニュー表をお友達に見せてくださるお客様、それを興味津々で見ているお友達。ああ、そうか。

『お客様にとってメニュー表は大切なものなんだ。そして、それをお友達に見せてくださることで私がどんなトレーナーかそのお友達にも伝わるんだ。』

私の作った手書きのトレーニングメニュー表を、何年も大事に持っていてくださる方にお会いすることがあります。そんなに大切にしてもらえてるのかと思うと、本当に嬉しかったです。

徐々にお客様の数も増え、アルバイトスタッフとしての仕事が出来なくなっていきました。ついに私は、アルバイトをやめフリーになりました。個人事業主になるので税務署に開業届けを出しました。

個人事業主・・・

事業・・・

開業・・・

晴れてフリーのパーソナルトレーナーになり、一生懸命活動していたある日、ふと気付きました。

『これって、事業を始めたってことだ。』

パーソナルトレーナーに”なる”ことが目標でした。自分がそれを”ゴール”と思っていたことに気付きました。

『バカか、俺は。これはゴールじゃない。スタートだったんだ。』

そう、パーソナルトレーナーという ”商売” を始めたんだということに私はようやく気付いたんです。

『トレーナーになることだけを考えていた。トレーナーになるということは、大げさに言えば “健康産業” で起業するということじゃないか。』

トレーナーに “なる” ことだけを夢見て自分は上京してきました。つまり、トレーナーになることしか考えていなかったんです。商売を始めて、この先どう商売を展開していくか。そんなこと全く考えていませんでした。

『なんてバカなんだ・・・』

新たな苦悩が始まりました。

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