なぜ運動しなくなるのか

あなたは不思議に思ったことはありませんか?

個人差はあるものの、子供の頃は誰しも動きます。じっとさせとく方が難しいくらい子供はよく動きます。

赤ちゃんや子供が盛んに身体を動かすのは、身体能力を高める(本能的な)訓練と言う側面があります。

寝ているだけだったのが寝返りをうち、ハイハイをし、やがて立って歩けるようになる。

そこに至るまで、様々な身体の機能を獲得していく必要があります。だからこそ、赤ちゃんや子供はよく動くんだと思います。

ではなぜ身体機能を獲得しなければいけないのか。走り、飛び、登り・・・あらゆる身体の機能を使って獲物を獲る・外敵から身を守る。つまり”生きていくため”なんだと思います。

しかし、多くの現代人は道端を歩いていて突然猛獣に襲われることはないでしょう。獲物を捕らえるより、スーパーやコンビニに行くでしょう。

せっかく獲得した身体能力は、発揮する場を失っているんではないでしょうか?

必要がないから使わない。

実は大人が運動をしない理由とは、こんな理由なのではないかと思うんです。

現代人が生きていくためには、身体能力より知能が必要。だから、身体を動かす必要性が下がっていくんだと思います。

日本人のフィットネス参加率は依然として3%前後といわれています。

その理由を探ろうと様々な調査がなされているのですが、結局3%は3%のままです。

ネットで日本人のスポーツ実施率は低下している、なんて記事を目にしました。(日本の「健康ブーム」が、実は本物でない理由 東洋経済ONLINEより)

この記事の中で「運動をしない理由」のアンケート結果が出ています。不動の1位は「仕事・家事で忙しい」だそうです。実はこの理由、フィットネスクラブの退会理由でも上位です。

記事の中では、働き方を変えて生活に余裕ができれば人は運動するようになるのではないか?街づくりから変える必要がある、と結論付けられています。

果たしてそうでしょうか?

そもそも、人々が運動しない理由は本当に「仕事・家事が忙しい」なのでしょうか?

私はここに間違いがあると思います。こうした視点から運動を広めようとするから失敗しているのではないか?と思っています。(別に私が思ったところで何も変わりませんが・・・笑)

現代人が運動しないのは、運動しなくても生きられるようになったから。

ほとんどの日本人にとって、運動は”非日常”です。特定のスポーツを楽しむ・フィットネスクラブに通うというのは、趣味の世界。要するに「好きな人だけがやるもの」なんです。

運動・フィットネスの定義から見直し、毎日の生活の中で自然と運動するような仕組みが出来ないと、人間は運動するようにならないでしょう。

とはいえ、これは難しい問題ですね。

三角筋と広背筋についての考察?

トレーニングする男性が、真っ先に鍛えたい!とおっしゃるのが・・・

大胸筋!!

その次くらいに・・・

上腕二頭筋!!

でしょうか。(ちょっとこの写真 笑)

いずれにしても身体の前側、あるいは見えやすい場所にあるこれらの筋肉を鍛えたいという男性は比較的多いです。

対して、背中を鍛えたいという方はちょっと少なくなります。

せっかく鍛えても自分では見えない、というのが理由の一つかもしれませんね。

全然関係ありませんが、この人の背中かっこいいなぁ~と私が思ったのは、ジェイソンステイサム!

映画『トランスポーター』のワンシーンで見たときに、ビルダーのような筋肉量はないのですがバランスがよく、どこか男の色気を感じさせるいい背中だと思いました。元・水泳の飛び込みの選手で、彼の『背中』は評価が高いようですね。

さて、そんなかっこいい背中を作る筋肉の一つといえば、広背筋です。しかし、鍛えにくいというか使っているかどうか分かりにくいという声をよく耳にします。

原因としては、見えない部分は意識しにくいということがあると思うのですが、もう一つ・・・腕の機能の変化なのかな?と思っています。

人間にとっては 

四足歩行の時代では 前肢

だった訳です。四足動物を見ていると、前肢と後肢は使い方・機能が違います。後肢は移動の際、推進力を生み出す役割を持っていて、前肢はその推進力を受け止める『足』の役割と、獲物を捕まえたりする『手・腕』の役割を持っているように思います。

広背筋は背中から腕にかけて付いている筋肉です。面白いことに、腕の部分でねじるようにして筋肉が付いています。大胸筋も同じで、腕に付くところでねじれています。

正確な理由は分からないそうですが、四つんばいになった時に真っ直ぐになることから、四足動物だった頃の名残りともいわれています。

歩行の際、後肢は地面を後ろに蹴り、前肢は地面を引き寄せる使い方をするのではないかと思います。(ちょっとハイハイしてみてください。)

広背筋は腕を身体に引き寄せる働きをします。四足歩行の頃は、歩行のたびに前肢は地面を引き寄せていたんだと思います。

ところが人間は二足歩行に進化し、前肢は『腕』の機能に専念するようになった。それに伴って、何かを引き寄せる動作が必要とされる場面が減ったんだとおもいます。

日常、引き寄せる動作をする場面が少なくなったので、背中にある筋肉(広背筋)が腕を動かしているとはイメージしにくくなったのかもしれませんね。

そして、三角筋。

腕と身体(体幹)をつないでいる筋肉。

上半身の筋肉群で、一番体積が大きいのがこの三角筋だそうです。(データによる差、個人差はあると思いますが。)

ちょっと意外ですよね?見た目的には大胸筋の方が大きそうなのに。

大胸筋が薄く広い形状なのに対して、三角筋は厚みがあります。なので体積は少し上なのかもしれません。

この三角筋。四足動物だったら後肢の大殿筋(お尻の筋肉)に相当するのかもしれません。だとしたら、そのくらいしっかりしていても不思議はないのかな?なんて。

あ、おまけに・・・

男性が鍛えたい上腕二頭筋に対してその裏側、上腕三頭筋。実はこちらの方がボリュームが大きくなりやすいといわれています。筋肉の構造も違うのですが、肘を伸ばす役割を持つこの上腕三頭筋は、やはり四足歩行で地面に手(前肢)を着いた時に力が入ります。四足歩行時はもっと必要だった筋肉なのかもしれませんね。

人間の身体もまだ、四足動物の頃の名残りがあるのかなぁ、なんて思いながら今日もダンベルを持ち上げます 笑

やらないよりまし・・・は、ない!

あ・・・やばい。そろそろ厚いコートを脱ぐ季節ですね。

『やらないよりましだよね?』

ダイエットトレーニングに関してお話していると、こんな言葉に出くわすことがあります。具体的には・・・

〇 テレビ見ながら、ちょっとでも運動すればやらないよりはましでしょ?

〇 一ヶ月に2~3回(のトレーニング)でも、やらないよりましでしょ?

といった具合です。

世間話程度の時は私も

『そうですね~』

と言うこともありますが、トレーナーとしてきちんと意見を求められた場合、答えは変わります。

『”やらないよりまし”は、私はないと思っています。』

と。(え~・・・と落胆されてしまいますが 笑)

なぜでしょう。

筋肉をつける場合でも

ダイエットでも

からだを”変化”させるには、その変化に見合った”刺激”が必要になります。筋肉をつける場合は、どのくらいの負荷を筋肉にどんな風に与えたかということが重要になりますし、ダイエットの場合はカロリー・栄養素を含め食事のコントロールが重要になります。

最近ではメディアでも ”正しいトレーニングとはなにか” を論じられるようになりました。非常にいいことだと思います。

使っている筋肉を意識しないと効かないんでしょう?

正しいフォームでやらないと意味がないんでしょう?

そんな風におっしゃる方が増えました。正しいんですよ、これ自体は。でもね・・・

どのくらいの頻度で どんな刺激を どのくらいの期間与えるのが適切か

この部分って、あまり言われないんです。個人的にはこっちの方がよっぽど重要な要素なんじゃないかと思うんです。

個人差もありますし、目標によっても違います。けれど、適切な刺激を 適切な頻度で 適切な期間与え続けなければ変化は起きません。

なので上記のお話だと・・・

〇 テレビ見ながら、ちょっとでも運動すればやらないよりはましでしょ?

→テレビを見ながら出来るくらいの運動では刺激が足りない可能性があります。

〇 一ヶ月に2~3回(のトレーニング)でも、やらないよりましでしょ?

 

→変化を起こすには、刺激量が足りません。

なので、やらないよりはまし は、ないと思うんです。

では、適切な刺激 適切な頻度 適切な期間 ってどのくらいか?ということになります。個人差もありますし、目標によって変わるのであくまで一般的なお話ですが・・・

例えば、筋肉をつけたいという場合なら、週3~4回くらいの頻度で12~15回くらいで限界が来る重さで3~4セットくらいの筋力トレーニングを行う必要があると思います。期間は、6~8週で少し変化が現れるくらいだと思います。

これはあくまで適切なトレーニングが行える程度の体力がある方のお話で、現在全く運動習慣がない方ですと、まず下地(基礎的な体力・柔軟性など)を作る期間も必要なので、更にもう数週間余裕を見る必要があると思います。

筋力アップでもダイエットでも、最低3ヶ月は続けて欲しいと個人的には思います。これはよく言われることですが、3ヶ月程度継続したことはその人の習慣になりやすいからです。

一ヶ月だけ極端な食事制限をしても、身体的にも精神的にもそれは特別な期間・イレギュラーなことだとしか認識しないと思うんです。その人の習慣にならない。だからリバウンドしてしまうんです。

そしてもう一つ考えて欲しいのが、適切な刺激を 適切な頻度で与えても 変化するまでは時間がかかる、そしてそこには個人差がある、ということ。

人はついつい正比例で変化が起こると想像してしまいます。

ウォーキングを始めたから、一週間後には歩いたカロリー分の体脂肪が減るだろう。

ケーキを食べるのをやめたから、そのカロリー分の体脂肪が減るだろう。

こんな風に。

仮に、その人にとってウォーキングを始めたことや、ケーキをやめたことが適切な刺激だったとしても、変化が現れる(=体脂肪が減る。)まではかなりの時間がかかります。そして、その期間その刺激を与え続けなければいけません。

体脂肪が減るという変化を、バケツから水があふれると置き換えてみます。

どんなに水を注いでも、はじめのうちは全く変化しません(=水があふれない)。バケツのふちに水が達したときに、はじめて変化が起こります。

身体に起こる変化もこれと似ていて、どんなに刺激を与えても(たとえそれが適切でも)変化を起こすレベル(=バケツのふち)まで達しないと変化が起きないんです。(シグモイド曲線

もちろん、途中で水を注ぐのをやめたら変化は起きません。また、バケツに水を溜めるのと違って、途中でやめたらまたはじめからやり直しです。(バケツの水も少しずつ蒸発しますが。)

適切な刺激を

適切な頻度で

適切な期間

与え続ける

こんな大変そうでつまらないことは、雑誌やインターネットではあまり出てきませんよね 笑

でもね、習慣化しちゃえばダイエットなんて簡単。というかダイエットそのものがいらなくなるんですよ。

姿勢改善?!

『あ!骨盤の動きが悪いですね!骨盤を調整して・・・』

『これは腿の裏の筋膜が縮まってるんですよ。この〇〇ローラーで・・・』

あなたは接骨院やトレーナーに、こんな感じで何か色々やられたことがありませんか?そして・・・

『一回で柔軟性が改善した!』

なんて言われて、ビフォー・アフター写真を撮られたりしたことがあるかもしれない。

先日レッスンにいらしたお客様が『最近腕があがらなくて・・・ほら。』と見せてくださいました。なんとも動きにくそうな窮屈な様子で、腕を動かして見せてくださいました。

『なるほど、わかりました。』

そういってレッスンに入りました。どうなったかって?もちろんすっきりあがるようになりましたよ。写真?ないですよ。だって・・・

こんなこと、当たり前のことですから。

当たり前の事だから、わざわざ写真に撮って自慢げに(ブログとかに)載せる気になんてならないんです。

上の写真のような体前屈。ビフォー・アフター写真でよく出てきます。これも簡単です、はい。皆さん誰でも出来ます。

どうやるかというと単純です。この姿勢を作って、じっとしていればいいんです。そうすれば徐々に柔軟性が向上していきます。当たり前ですよね?寝起きは動きにくかったけど、徐々にからだが『ほぐれた』なんて、誰しも経験があると思うんです。

もちろん、どこの筋肉が問題になっているのか?もしかしたらそれ以外の組織の問題なのか?実際のレッスンやストレッチの時には、そうしたことを見極めながらやっています。適切なところにアプローチしないと、的確に効果は出ませんから。

でもね・・・ある程度の柔軟性の向上は、結構簡単なやり方でも得られるんです。そんなことを自慢げに載せる気にはなれないので、私はそうした写真はほとんど撮りません。

また・・・

『一回の施術で猫背が!』

『この〇〇ローラーで背骨がまっすぐに!』

なんてコピーとともに、猫背の人がシャキッと立っているビフォー・アフター写真なども見かけますよね?

あれもね、ある程度は簡単なんです。その方法ですか?お教えしましょう、魔法の方法を。

床にしばらくあお向けなっていてください。

これだけです(笑)インチキくさいですか?

からだは常に上から下に重力を受けています。普段何気なく生活していると、あまりそれを意識することはないと思います。

人間の腕はやや前についています。頭も前に変位しやすいです。(特に最近はみなさんスマホを見たりする時間が多いですから。)

そうなると、からだの前側に重心が移動しますから、バランスをとって何かを後ろにしなければならなかったりします。

そんな風に重力の中でバランスを取っているうちに姿勢は変化していってしまうのです。

あお向けでもうつ伏せでもいいと思うんですが、寝た状態だと重力がお腹から背中方向に掛かるようになります。(うつぶせの場合は逆)

床はだいたい平坦に作られてますから、そこに寝そべれば重力にしたがってからだも(ある程度)まっすぐになります。しばらくして起き上がったときは、いくらか姿勢はまっすぐになります。

当たり前ですよね?(笑)

でも、ここにもう一つカラクリがあります。それは・・・

『はい!じゃあ、もういちどそこに立ってください。最初と姿勢の変化を比べますから!』

なあんて言われながら写真を撮られたら・・・

そりゃいい姿勢になりますよ!(笑)

もし鏡なんてあったらもう、無意識にいい姿勢作っちゃいますよ。人間は感情の生き物です。トレーナーでも接骨院の院長さんでも、いわゆる『先生』がなんかしてくれて、姿勢を良くしてくれようとしてる。そうなったら、先生の期待に応えたくなっちゃう。信頼関係があればなおさらです。

そんなことに気付いてから、私はなるべくお客様にそうした言葉かけをしないようにしました。プラセボ(偽薬効果:思い込み)をなるべく入れたくないので。

1)姿勢の評価はさりげなく、何も言わずに観察するようにしています。

2)ここの筋肉が硬くなっているからここを伸ばせば・・・みたいなことを先に言わない。

こんなことを守っています。

自然から乖離する身体

地面はアスファルト舗装

建物はコンクリート

移動は鉄の箱

現代人は自然を離れた生き物です。唯一といっていいくらいの残された自然は、身体。自分の身体はかろうじて残る自然です。

人間を含め、動物の身体は微生物で埋め尽くされています。私もあなたも、『自分』というひとつの命と思っていますが、実際はものすごい数の命があなたの身体を住処にしています。まるで、あなたがひとつの惑星でそこに様々な命が住みついてるかのように・・・

人間は『動くこと』をやめようとしています。いまやインターネットでほとんどのものが購入でき、翌日には自宅まで届きます。実際、家から出なくても生活が出来てしまうようになってきています。

それ以前から人間は自分自身の乗り物『両脚』を捨て、車・電車で移動をするようになっていました。脚・骨盤帯はロコモーター:身体を運ぶ・移動させる役割を持っています。

今あなたはネットで検索をして私のブログを見つけてくださったのかもしれない。IT分野ではAI(人工知能)の研究が進んでいます。人間の代わりに知能を持ち、いずれ人間の仕事を奪っていくとさえいわれています。

動かない

考えない

人間は動物であることも、人間であることも捨てようとしているのでしょうか。動かず、働かなくてもよくなった先には何があるのでしょう?楽ちんな生活?きっと人間は、生きる意味を見失ってしまうと私は思います。その結果、あの映画『マトリクス』のような仮想現実(バーチャルリアリティー)を作り出し、その中で安全に暮らすのかもしれません。人間が作り出したコンピュータ(AI)に、人間が制御され『生かされる』そんな世界になるのかもしれませんね。

フィットネス・健康の分野でも、健康状態をモニターして適切な食事や運動をアドバイスしてくれるアプリやそれを組み込んだ住宅などが開発されています。

トレーニング機器も進化していて、従来の重りが付いたようなマシンから、さながらSF映画に出てくるような乗り物にのり、仮想空間の中で運動するようなマシンまで出てきています。

果たしてこれは進化なのでしょうか?

身体には感覚受容器が無数にあり、身体と脳は意識下・無意識下で情報のやり取り・調整を行いながら身体を操作しています。

いまあなたは当たり前に生卵をつかめるかもしれない。

しかし、そのためには何回かそれをつかみ、重さ・固さを記憶し、それにあわせた筋肉の出力を学習し、指や腕を動かしているのです。

そして、その運動プログラムは脳に記憶され、一旦習得するとあとはなにも意識しなくてもその動作を行うことができます。そしてその記憶は長い間保存されます。

もうずいぶん長いこと自転車に乗っていなかった人でも、少し練習すればまた乗れるようになるのは、こうした脳の仕組みによるものです。

人間の脳・身体の機能は膨大な進化の時間をかけて巧妙に創り上げられてきました。

人がここ数十年で創り上げた技術はそれに追いつけるのでしょうか?

もう一度自然に、内なる自然に戻るべきなのではないか?と思うのです。この巧妙な人間の機能を最大限引き出すことがどれほど重要か。そのために人は身体を動かし、脳に情報を伝え、動きを調整し、また脳に情報を送る。

動くことは生きることであり

生きることは動くこと

そのために我々は、運動・身体を動かす必要があるのだと思います。