仕事とは何か?お金とは何か?

あなたにとって仕事とは何ですか?

あなたにとってお金とは何ですか?

パーソナルトレーナーとして個人事業主になった私は、所属していたフィットネスクラブの休館日以外は毎日活動していました。

一日の活動時間はほぼクラブの営業時間と同じくらいでしたので、お客様にはよく『なんだ?!お前ここに住んでるのか?』なんてからかわれました。

スタジオを開いてからは週休ゼロ日。木曜日の夜、フィットネスクラブでピラティスのレッスンを担当していたので、自分のスタジオの定休日をその日にし、レッスンまでが自分の休みでした。

もともと10時間以上活動するのが当たり前になっていましたが、スタジオをオープンさせるとその状況は加速。一日の半分以上の時間を働いていました。

夜お店のエアコンのスイッチを切ると今日の運転時間が表示されます。

「本日の運転時間 15時間」

ああ、今日も一日の大半をここで過ごしたか・・・なんて思いながら帰宅します。

今はお店から徒歩5分ほどのところに住んでいます。一週間のほとんどを半径1km圏内のエリアで過ごします。定休日に作業しようものなら、一ヶ月近く町内から出ないような時もあります。

自分でお店をやる方は、大なり小なりこんな感じだと思います。スタジオを作る前、居酒屋さんをやっている方にお話を聞いたら『休みは無し、早朝仕入れに行って昼から仕込み、深夜まで営業してるよ』とおっしゃってました。

その時は『よくそれでやってられるもんだなぁ・・・』と驚きました。自分だったら耐えられるのかな、と。

トレーナーになる前は、販売員やら皿洗いやらマッサージやら、いくつか仕事をしました。どれも楽しかったですし、どんな仕事からも学ぶことがありました。

そうはいっても普通にお給料を貰っていた時は、休みの日が待ち遠しかったです。

スタジオをオープンさせてしばらくすると、自分自身の仕事に対する考え方が変化していることに気付きました。

『このお店を無事に大きく育てなきゃ。』

いつしかお店を我が子のように思っていました。

お店は我が子

仕事は子育て

大変なのは確かなのですが、大事な我が子です。そこに時間や労力を費やすことは、なんら苦ではなくなりました。

販売員時代は毎朝『今日の売り上げ目標は〇〇円、前年は・・・』なんてやっていました。だからでしょうか、売上げの数字を上げたいという習性があります。

順調に大切な我が子が育っていくと、売上げが上がってきました。

『やった!初めて〇〇万円いった!』

では私の給料も増えるのかというと、実はまったく変わっていません。

自分の給料は必要最低限にしています。私よりアルバイトの方が給料が高いくらい(笑)

もちろん、我が子であるお店のために、そして現在はもう一人の我が子「従業員」のために残しておきたいのもあります。でも、それ以前に・・・

『あれ?!俺、売上げの数字を上げることにはこだわるけど、現金が欲しいんじゃないんだ。』

広い家に住みたいとか、車が欲しいとか、旅行がしたいとか。そんな欲があまりないことに気付きました。

売上げを上げるのと、現金が欲しいのとは私の中ではまったく違うことでした。

売上げを上げるのは、言い換えれば自分の商売に工夫を施して結果を出すということ。言い方は悪いですが、子供のころにやった魚釣りのようなイメージです。

仕掛けやエサを工夫して、お魚がいっぱいいそうなところに糸を垂らす・・・いわゆるマーケティングってやつに似てませんか??

そして、魚がたくさん釣れる。つまり自分の考えた作戦が当たり、商売がうまくいく。この瞬間が楽しいんです。

本当の釣りなら得られるのは魚ですが、この場合魚とは『売上げ=お金』です。私は釣った魚を食べたいわけでなく、自分の考えた仕掛けや作戦がうまくいくかどうか、その事にだけ興味があるようです。

魚釣りと違うのは、自分の仕掛けた作戦がうまくいくということは、誰かにお店の魅力を感じてもらえ、楽しく使ってもらえた事を意味します。

私にとって

自分の店は『我が子』

仕事は『魚釣りのような遊び(に近いもの)』

のようです。

たいして休みもなく、贅沢をするようなことがなくても、真剣に毎日遊んでいるようなものなので、あまり苦ではないらしいです。

「仕事の時間」「自由時間(遊ぶ時間)」という区別もなくなったので、『仕事=生きる事』になっています。

・・・もちろん、お休みは欲しいですが 笑

自己投資と学ぶこと

自己投資というと、どんなことを思い浮かべますか?

セミナー?

養成講座(資格取得)?

書籍で勉強?

収入の何%かを自己投資に当てるべきだ、なんて話があります。パーソナルトレーナーやインストラクター達も自己投資を欠かしません。その一環でセミナーや養成講座に出る方も多いでしょう。

セミナー・養成講座などはピンきりで、数千円のものから100万円近いものまで様々です。

株などを買うわけではありませんが、投資である以上利益を得なければその投資は失敗ということもいえると思います。

以前、ヨガのインストラクターさんを募集した時のこと、まったく同じ養成機関出身の資格保有者の方が大勢面接にいらした事がありました。

『あれ?!あそこの学校って、就職率が高いのを売りにしていませんでしたっけ?』

ネットなどでも広告が多く出ていて、就職率90%とか100%をうたっていた養成機関だったんです。

『あ、ええ・・・』

現実はちょっと違ったようです。

ヨガは需要が高いのですが、その分資格保有者も大勢います。資格を取るのとレッスンを持てる(つまり収入を得られる)のはまったく別の話になります。

資格保有者が大勢いるので、競争は激しくなる。しかし、フィットネスクラブのレッスン数には限界があり、インストラクターの入れ替え順番待ちになってしまいます。

こうなってしまうと、せっかくの投資も利益に結び付かなくなってしまいます。もちろん、これはヨガに限ったことではありませんが。

自分のお店を開こうと考えたものの、根が臆病な私です。なかなか決断しきれない。

『300万~400万円かかるのかぁ・・・』

事業にかかるお金としては本当に小さい額です。でも、やっぱり怖い。

『なんの経験も知識もないのに・・・まず学校に行って経営を学ぼうかな?』

そんなことを考えた時・・・

『なんだ!学校に行ったと思えばいいんだ。学費だって300万とか400万かかるんだもん。』

知識がない・・・

経験がない・・・

自信がない・・・

だから勉強しなきゃと思いました。けど、学校で『商売』を学べるかな?大学なら3~4年。入学できるかも分からない。だいたい、知識つけても商売がうまくいくかどうかは別だ。

入学の時期やら手続き、試験・・・etc そんなことを考えたら一気に面倒くさくなったんでしょう 笑

『やめた!学校行ったと思って店を開こう。その方が先にスタートできるし、ずっと勉強になるだろう。』

臆病なわりに大胆でした。というより、強引に自分を納得させて開業に気持ちを向かわせました。

しかし、この選択は正しかったと思っています。

半ば強引にお店を作り始めた。何も知らない、何も出来ない。

どんどん資金は減っていきます。どうしよう?どうしよう?

人間必死になるものです。時間だけはあるので、毎日インターネットを眺めてヒントを探しました。

『もっとこうだったらいいのに。こうできないかな?何か方法はないかな?』

お金がないので何でもまず自分でやろうとしました。

看板が欲しい・・・でも高い。じゃあ、作ろう。

HPが欲しい・・・でも高い。じゃあ、作ろう。

クレジット決済できないかな?ネット予約出来ないかな?

もっとこうだったらいいのに、もっとこうしたい。そのためにはどうしたらいい?どうやったら出来る?

振り返ってみると、お店を出してからの数年間はかなり濃密でした。大げさに言えば、生き延びるためですから毎日必死です。生きている時間のすべてをつぎ込みました。

気がつけば、色んなことが出来るようになってました。色んなことを考えるようになってました。色んなことが”身”についてました。

きっと、座って先生のお話を聞いているだけじゃわからない、頭でわかっても身につかない。知識というより”知恵”。生き延びるための知恵がついたように思います。

『一年前の自分と今の自分。何が違うんだろう?』

以前はそんな風に感じていました。一年生きたのに、一年分成長してない。そんな自分にイライラしていました。

本当の学びは実践の中にある。私はそう思います。

 

箱を持つということ③ 賭け

家や車は資産に計上されるものの、維持費や返済、税金といった出費が発生します。見方によっては負債です。持っていればお金が出ていきます。

お店を始めた場合はどうでしょう。当然のように初期投資もかかれば運営に関する費用もかかってきます。もちろん、その出費は家や車のローンとは比べ物にならないでしょう。(お店の大きさやスタッフ数などによって変わりますが。)

お店を始めて数ヶ月、それほど固定費もかからない商売でしたがそれでも赤字が続きました。ギリギリの予算で開業しましたから、毎月本当に銀行通帳を見るのが怖かった。

いつしか・・・赤字の額が減って、ようやくトントンというところまで。そしてついに黒字に。

少しずつ黒字の額が増えて、いつしかもとのフリーランス時代より収入が増えました。その時・・・

『これって、自分に賭けたってことだ。』

ふと思いました。お店を始める、小さくても事業を始める。これって自分に賭けたってことだと。

パチンコも競馬も、ギャンブルの類は一切やりません。宝くじだって買ったことがありません。臆病な性格ですから。にも関わらず、気付いたら(自分にとっては)大博打を打っていました。

お店を出す、それはコストがかかりリスクが増えると考える人は多いと思います。もちろん現実的にはそうでしょう。しかし・・・

家を買う、車を買う、ギャンブルにお金を使う。こうしたことに費やすお金は回収できません。(ギャンブル・宝くじは自分の力が及ばないところで結果が決定されますし、その仕組み上儲けが出る人はごくわずかです。)

では、お店を開く(事業を始める)のはどうでしょう。

現実には一年と持たないで閉店するお店も多いといわれます。でも、お金を回収できる(利益を産み出す)可能性はあります。そしてその可能性は、自分の頑張り・アイデア・工夫しだいで変わります。

リニューアルして店舗を拡大しました。一見必要がないくらい広い店舗になりました。

テナント料は倍近くなり、借入金も更に増えました。コストもリスクも高まりました。しかし・・・

ちょうどそのタイミングでお客様が一気に増えました。単にタイミングだったんだと思います。宣伝などはしていないので。でもその時思いました。

『お店にかかる費用はコストじゃない、投資だ。お店をよりよくしようとかける費用はコストじゃない。投資だ。』

当たり前と言えば当たり前です。設備投資ですから。でも、ついつい単純にコストと考えがちです。

でも、借入金も固定費もかなり増大しました。リスクはかなり高まったと言えます。けど・・・

『小さいままいたら、他の競合に負ける。』

どんな商売も競合がいます。協業なんて考え方もありますが、そうはいってもみな商売敵です。みんな自分の商売に必死ですから。情け容赦なんてしてくれません。どうしよう強い相手が出店してきたら。どうしよう・・・常に不安でした。でもある時・・・

『強い相手にビクビクしなくなるには、自分が強くなるしかない。』

リスクを恐れ立ち止まるほうが、よっぽどリスクが高まる気がしたんです。

私の判断が正しかったのか間違っていたのか。それは数年後にならないと分かりません。

けど、私は自分に賭けてみます。

箱=お店を持つということ② 家を買う勇気

『パーソナルトレーニングジムを開きます!』

最近では、SNSでもそんな投稿を時折見かけます。そこには・・・

すごいね!

勇気あるね!

頑張って!

そんな賞賛のコメントが寄せられたりします。

自分は相当な臆病者なので、それこそ死ぬ思いでお店を始めました。(今でもですが・・・)何から手を付けていいのかさえわからなかったので、本当に勇気・覚悟が必要でした。

でも・・・一階路面店、とはいえ小さい店舗。トレーニングマシンもない状態からスタートでしたから初期投資は300万円~400万円くらいだったと思います。当時の私にとっては大金でした。(もちろん、今でも大金ですが)

でも、でもです。

『事業』と考えた場合、この金額はかなり小さい額です。

300~500万円っていうと、ちょっとした高級車のお値段くらいでしょうか?

仮に誰かがそんな車を購入した、とSNSなどで発信したら・・・

すごいね!

勇気あるね!

頑張って!

そんな反応が返ってくるでしょうか?(すごいね、はありそうですが。)

使っているお金は一緒です。お店を始めたか、車を買ったか。でも、反応・印象はずいぶん違うものになると思います。

お店を始めることは、多くの人にとって非日常。でも、車を買うことは日常の出来事。そうしたことが反応の違いに表れるのだと思います。

お店を始めて6年。移転したり拡大したりしました。ついでに借入金も増えたわけですが、時々冷静に考えると『こんなに借金あるけど大丈夫かな??』って不安になるんです。けど待てよ・・・

『俺の借りてる額じゃ、家も買えないんだよな。』

私の年代(40代)なら住宅ローン真っ只中という方も多いと思います。私は良く知らないのですが35年ローンとかですよね。

今の私にとっては、お店を始めるより家を購入するほうがはるかに勇気が必要に思えるんです。35年・・・途方もない長さです。そもそも明日生きている保証なんてどこにもないのに。

家も車も資産に計上されます。でも・・・

家や車はお金を生み出すでしょうか?

税金、管理費、修繕費、返済・・・etc

ではお店は・・・?

お店の場合、頑張ればお金を生み出します

もちろん、家や車と同じように返済も税金も支払わなければなりません。でも・・・

お店は、自分自身の頑張り・アイデア・工夫によってその形を変え、発展していけるものです。

商売はそんなに簡単じゃない。それは今日まで苦しんだ自分には痛いほどわかりますし、まだその苦しみの真っ只中です。1年後大丈夫かな?来月大丈夫かな?いつも戦々恐々としています。でも・・・

明日どうなっているかわからない。それは、自分のお店で商売をしても、大きな会社に勤めても同じ。そのリスクは同じ。変わらないんです。

では、お店を出す費用は単純にコストなのでしょうか?

箱=お店を持つということ① 箱はちから

整体屋さんは誰でもなれるんですよ。そういうとあなたはびっくりするでしょうか?

整体屋さんは接骨院と違って国家資格(接骨院の場合は柔道整復士)が必要な商売ではないので、極端な話あなたが『明日から整体師になろう!』といえばなれるんです。(それがいいかどうかは別として、ですよ。)

パーソナルトレーナーもこれと同じで、税務署に行って開業届けを出せば手続きは完了です。はい、明日からパーソナルトレーナーを名乗れます。(しつこいようですが、それがいいかどうかは別として、ですよ!笑)

個人事業主(フリー)のパーソナルトレーナーとしてフィットネスクラブで活動していた時と、自分のスタジオを作った時。ある違いを感じました。それは・・・

『箱は力(ちから)だ。』

ということでした。

今も当時も変わらず、私は無名などこにでもよくいるパーソナルトレーナーです。どこかの協会のマスタートレーナーでもないですし、凄腕・神技のカリスマトレーナーでもありません。

人付き合いが特別良いわけでもないので、いわゆる横のつながりなんてのもあまりありません。”パーソナルトレーナー”としての私に会いにくる、なんて人は皆無でした 笑

ところが・・・

箱、お店を構えるとちょっと状況は変わりました。

小さい小さいお店。お洒落な街にあるわけでも、カリスマトレーナーのお店でもありません。それでも・・・

・世界的に活躍するダンサーさん

・海外のマスタートレーナーさん

・国内の有名トレーナーさん

・名門バレエ団のピラティストレーナーさん

などなど・・・

いろんな方にお会いする機会を得ました。もし、私がただの一個人パーソナルトレーナーだったら、到底お会いできないような方々ばかりでした。それもこれも、小さくても『箱(お店)』を持ったからこそでした。それも、マンションの一室などではなく、小さくても1階路面店だったからだと思います。

『すごいなぁ・・・箱って力を持ってるんだ。』

実は以前、超有名な私もあこがれるトレーナーさんのセミナーに参加したとき、その方も全く同じ事をおっしゃってました。箱は力があるんだ、と。

小さいところでいえば、広告などの営業マンがやってくるのだって箱があればこそ、なんです。

ところで、お店を始めるのは車を買うより勇気が『要らない』と最近思うようになりました。なぜ???不思議に思いますか??