借金は才能

あなたは ”借金” と聞くと、どんなイメージを抱くでしょう?ポジティブなイメージを抱く人は少ないかと思います。

身内の恥をさらすようですが、私は父が借金を作って家庭内が荒れたことがあったので、かなり借金に対してネガティブなイメージがありました。

フリーランスのパーソナルトレーナーになったとき、会社に”雇われない”で生きることがかなり不安でした。

『明日お客様が0(ゼロ)になったらどうしよう・・・』

いつも頭にはそんな不安があったので、借金やローンを組むことが怖くて出来なくなりました。乗っていた車が壊れてしまい、代わりの中古車を購入した時は、契約後に怖くなって何とか解約しようとしたほどでした。総額30万円くらいだったはずなので、車としてはかなり安かったのですが(笑)

自分のスタジオを始めよう、そう決めて自己資金を貯めてはいましたが、全額自己資金でまかなえるほどではありませんでした。

最初のスタジオを作る時、私は政策金融公庫の融資に失敗しました。実績もない、事業計画書の書き方さえ分からない、そんな状態でしたので今考えれば当然の結果でした。(ジム・スタジオが出来るまで

どうしていいのか分からず、消費者金融から借りようか考えたほどでした。しかし、借金することが怖い自分。問い合わせの電話をする手が震えていました。結局消費者金融には申し込めませんでした。

困り果てて気付きました・・・

『父はお金を借りることが出来たんだ・・・』

父親は公務員で定年まで勤め上げていました。お金を貸す方としては信用出来る相手でしょう。一方、これから事業を始める、まだ実績もない私。そんな私には誰もお金を貸してくれない。そうか、借金できる能力がないんだ、と。

お金を借りることが出来る、それはつまりお金を調達する能力があるということで、経営者として大切な能力なんだと思います。

同時にそれは “お金を返す能力がある”  と相手が信用してくれるという事。信用される実績・根拠が示せるということなんだと思います。

資金を安定して調達することが出来れば、商売において大切なタイミング・スピードが得られる。

何かを買うためにするような”借金(ローン)”と事業においての”資金調達”は違う。

経験してみてようやく分かりました。

逃げ道|ジム・スタジオが出来るまで④

融資の審査結果を待ちながらも、スタジオの準備を続けていました。すでに一度融資を断られている身。祈るような気持ちで毎日を過ごしていました。

資金のめどがつかない。けれども必要なものは買わなければいけない。残り少ない資金から毎日必要な備品を買い揃えていました。100円使うのもためらう日々・・・ある日、買出しに向かったホームセンターでお腹がすき過ぎて目が回ってしまいました。

『安くてカロリーのあるもの・・・』

普段なら避けるであろうジャンクフードも、このときばかりは食べざるを得ない状況でした。

必死な毎日は続きました。そして、融資の結果より早く最初のスタジオの内装工事は終了しました。

審査を待っている間は提出した見積もりにあるものは購入できません。エアコンが買えないままでした。

内装工事は終わりましたが、まだまだ作業は山盛り・・・昼間フィットネスクラブでの業務を終え、夜に自分の店に行き作業。時には深夜3時過ぎまで作業し、一旦家に戻り朝の8時にはまた自分の店で作業を始めていたりしました。

エアコンのない店。9月の終わり頃でしたが、夜はかなり寒くなっていました。照明もまだ少なく薄暗いスタジオ。急場しのぎの電気ストーブにあたりながら、コンビニの200円のわびしいお弁当。それが更に半額になったものを一人食べていました。

ふと襲ってくる絶望感・・・裕福ではなかったけど、何不自由なく暮らしてきた自分にとって初めて感じる孤独と絶望でした。

『本当にこれで正しかったのか・・・』

そんな思いが込み上げてきました。逃げ出せるなら逃げ出したいと何度思ったことか。

『もう引き返せない。引き返す道なんてない。』

店をやると決めた時点から、フィットネスクラブでの活動を減らしていました。弱い自分。退路を断っておかないと簡単に逃げてしまうことは分かっていました。

マンションの一室で隠れ家的に、そんなやり方もあったでしょう。でも私は、一階路面店にこだわりました。それも逃げ道をなくすためでした。

どんなに不安だろうが絶望しようが、もう引き返す道はない。自分でそんな状況を作り出していました。逃げ出さないため・・・

今思えばたいしたことではなったのですが、その時は本当に追い詰められました。当たり前の順番を間違ったこと。しかし、今思えばもし間違っていなかったら、逆に店はオープンしていなかったでしょう。

『お金借りられなかったからしょうがない。』

自分が逃げる”言い訳”を得て、あきらめてしまっていたでしょう。

薄暗く寒い自分のスタジオで、一人孤独と不安に耐えながらわびしい弁当を食べた経験は、自分に色々なことを教えてくれました。あの経験がなかったら今の自分はない。ないです。

変な集客方法~選んでもらう理由があるか~

『あ、このトレーニングはここがポイントです。ここをこうすると効いてくるでしょ?よかったらパーソナルトレーニングやりませんか?今ならちょっと割引で・・・』

もしあなたがフィットネスクラブに通っていたら、こんな風にトレーナーに話しかけられたことはないでしょうか?

フィットネスクラブ時代、こんな調子で営業をしたりチラシを配ったりするトレーナーがいました。もちろん私も最初はそうでした。でもある時・・・

『トレーナーさんに話し聞くとお金取られるんでしょ?』

とお客様から冗談っぽく言われました。

あなたがフィットネスクラブでトレーニングしていると想像してください。突然見知らぬトレーナーが寄ってきて親切にアドバイスしてくれました。しかし最後に・・・

『じゃあ、パーソナルトレーニングやりませんか?もっと効果が出ますよ!』

なんて営業が始まったら、なんだ親切じゃなくて押し売りか、って気になりませんか?

私は元はスポーツ用品の販売員でした。セールスすることには慣れていたので、私も始めはそうした営業をしていました。でも・・・

『これじゃお客様からしたら親切の押し売りじゃないか。』

そう感じて以来、営業(売り込み)をしないと決めました。お客様は週に何回もフィットネスクラブにいらっしゃる。何をするため?もちろん運動をするためです。それなのにクラブに来るたびに私たちの営業トークを聞かされたら・・・邪魔くさくてしかたないだろう、と。

『もう自分はモノ売りじゃない。今日から営業はしない。』

そう決めました。そんなことしたら売り上げ下がるんじゃ・・・あなたはそう思いますか?

自慢出来るような話ではないのですが、私の売り上げは所属したジムの中ではいつも1・2番でした。カリスマトレーナーかって?いいえ(笑)私はどこにでもいるトレーナーです。プロ選手やモデルを担当したなんてこともありません。

売り込まないで売る。そんなテクニック本やセミナーもありますね。くだらないので見たことも参加したこともありませんが(笑)

私がやっていたのは、ごく当たり前のことばかりでした。

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お客様に笑顔で挨拶をする

いつもクラブにいる

お客様を観察し、必要なアドバイス・サポートをする

お客様が必要とする知識を学ぶ

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当時(今もそうかもしれませんが)、フリーランスのトレーナーは何店舗も掛け持ちで活動していることが多かったんです。この時間帯はお客様が少ないから移動して別の店舗で・・・といった具合で、仕事の効率化を図っていた。

でも、そうするとトレーナーがいない時間帯が出来るんです。私は始めはトレーナー兼クラブスタッフだったので、活動時間に制約がありました。なので、せっかくお客様がパーソナルトレーニングを希望されても『すみません。今トレーナーがいないので・・・』と言わざるを得ないことが多々ありました。

これは販売員だった私としては、口が裂けても言いたくない言葉でした。お客様が欲しがっているのに売れない。しかも、自分という”商品”はここにあるのに。なんて申し訳ない・・・何度も悔しい思いをしていました。その時から決めていました。

『俺がフリーランスのトレーナーになったら、トレーナーのいない時間は作らないぞ。』

フィットネスクラブは15時~18時くらいがもっとも会員さんが少なくなります。当然トレーナーもいなくなります。私はひたすら自分の所属店舗にとどまりました。(まあ、地方出身で電車移動が苦手だったのもあるのですが 笑)

そのうちに・・・

『近藤さんはいつ来てもいるね。ここ(クラブ)に住んでるの?』

なんてからかわれるようになりました。

フリーランスのトレーナーは、箱(店舗)という実態はないのですが、一人ひとりが店舗なんだと思うんです。ところが、そういう感覚の人は少なかったように感じます。

先にあげた私の行動。実は、普通にお店を開いていたら当たり前のことばかりです。

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お客様に笑顔で挨拶をする 

→ 説明不要ですよね。当たり前のこと。

いつもクラブにいる 

→ そこに”店”がなかったらお客さん来ません、買えません(笑)

お客様を観察し、必要なアドバイス・サポートをする

→ 上手な接客は親切。下手な接客は迷惑。セールスばかりされたら安心してお店にいけませんよね。

お客様に必要な知識を学ぶ

→ お客様の欲しがる商品を仕入れる。

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普通にお店を開いたら、当たり前のことばかり。なのに、形態が違うから見えなくなってしまうんです。ある時、トレーナー陣が売り上げが悪いと悩んで、事務所で作戦会議ばかり開いていたことがありました。私も何度か参加させられました。でも、内心・・・

『売り上げ上げたきゃ、お客さんに挨拶して回ってきたらいいのに。』

と思ってました。他のトレーナーは私がイベントやキャンペーンなどに協力せず、無策でいることにイライラしたようでした。でも、私は決して無策ではなった。その当時はそうとは意識していませんでしたが、結果として目に見えない策を張り巡らしていました。

『お客様にとってコンビニエント(便利)であること。』

そこに商品がなければ売れませんよね。

同じ商品なら笑顔の人から買いたいですよね。

高額な商品なら顔や仕事ぶりを知っている人から買いたいですよね。

自分の欲しい商品のあるお店で買いたいですよね。

笑顔で、セールスせず、気軽にいつでもちょっと相談が出来る・・・自分はそんな”店”になろうとしていました。

 

姿勢改善?!

『あ!骨盤の動きが悪いですね!骨盤を調整して・・・』

『これは腿の裏の筋膜が縮まってるんですよ。この〇〇ローラーで・・・』

あなたは接骨院やトレーナーに、こんな感じで何か色々やられたことがありませんか?そして・・・

『一回で柔軟性が改善した!』

なんて言われて、ビフォー・アフター写真を撮られたりしたことがあるかもしれない。

先日レッスンにいらしたお客様が『最近腕があがらなくて・・・ほら。』と見せてくださいました。なんとも動きにくそうな窮屈な様子で、腕を動かして見せてくださいました。

『なるほど、わかりました。』

そういってレッスンに入りました。どうなったかって?もちろんすっきりあがるようになりましたよ。写真?ないですよ。だって・・・

こんなこと、当たり前のことですから。

当たり前の事だから、わざわざ写真に撮って自慢げに(ブログとかに)載せる気になんてならないんです。

上の写真のような体前屈。ビフォー・アフター写真でよく出てきます。これも簡単です、はい。皆さん誰でも出来ます。

どうやるかというと単純です。この姿勢を作って、じっとしていればいいんです。そうすれば徐々に柔軟性が向上していきます。当たり前ですよね?寝起きは動きにくかったけど、徐々にからだが『ほぐれた』なんて、誰しも経験があると思うんです。

もちろん、どこの筋肉が問題になっているのか?もしかしたらそれ以外の組織の問題なのか?実際のレッスンやストレッチの時には、そうしたことを見極めながらやっています。適切なところにアプローチしないと、的確に効果は出ませんから。

でもね・・・ある程度の柔軟性の向上は、結構簡単なやり方でも得られるんです。そんなことを自慢げに載せる気にはなれないので、私はそうした写真はほとんど撮りません。

また・・・

『一回の施術で猫背が!』

『この〇〇ローラーで背骨がまっすぐに!』

なんてコピーとともに、猫背の人がシャキッと立っているビフォー・アフター写真なども見かけますよね?

あれもね、ある程度は簡単なんです。その方法ですか?お教えしましょう、魔法の方法を。

床にしばらくあお向けなっていてください。

これだけです(笑)インチキくさいですか?

からだは常に上から下に重力を受けています。普段何気なく生活していると、あまりそれを意識することはないと思います。

人間の腕はやや前についています。頭も前に変位しやすいです。(特に最近はみなさんスマホを見たりする時間が多いですから。)

そうなると、からだの前側に重心が移動しますから、バランスをとって何かを後ろにしなければならなかったりします。

そんな風に重力の中でバランスを取っているうちに姿勢は変化していってしまうのです。

あお向けでもうつ伏せでもいいと思うんですが、寝た状態だと重力がお腹から背中方向に掛かるようになります。(うつぶせの場合は逆)

床はだいたい平坦に作られてますから、そこに寝そべれば重力にしたがってからだも(ある程度)まっすぐになります。しばらくして起き上がったときは、いくらか姿勢はまっすぐになります。

当たり前ですよね?(笑)

でも、ここにもう一つカラクリがあります。それは・・・

『はい!じゃあ、もういちどそこに立ってください。最初と姿勢の変化を比べますから!』

なあんて言われながら写真を撮られたら・・・

そりゃいい姿勢になりますよ!(笑)

もし鏡なんてあったらもう、無意識にいい姿勢作っちゃいますよ。人間は感情の生き物です。トレーナーでも接骨院の院長さんでも、いわゆる『先生』がなんかしてくれて、姿勢を良くしてくれようとしてる。そうなったら、先生の期待に応えたくなっちゃう。信頼関係があればなおさらです。

そんなことに気付いてから、私はなるべくお客様にそうした言葉かけをしないようにしました。プラセボ(偽薬効果:思い込み)をなるべく入れたくないので。

1)姿勢の評価はさりげなく、何も言わずに観察するようにしています。

2)ここの筋肉が硬くなっているからここを伸ばせば・・・みたいなことを先に言わない。

こんなことを守っています。

変な集客方法~売り込まない~

パーソナルトレーナーになってそろそろ10年、11年ほどになります。

その前はスポーツ用品の販売員をやっていました。確か通算で8年くらい。なので、ようやく最近パーソナルトレーナーとして生きた時間の方が長くなったといえます。

販売員時代はシューズやスキー・ボード用品、最後はゴルフ用品の担当をしました。まったく経験のないゴルフの担当。正直最初は抵抗がありましたが、後にこの経験がパーソナルトレーナーになった自分を救ってくれたと思っています。

他の用品と違い、ゴルフ用品は 『対面販売』という販売形態になります。単に商品が置いてあってお客様が購入していく、というのではなく相談・値段交渉などのお客さんとのコミュニケーションが重要になります。

そもそも人見知りであまり口が達者でない私、はじめは苦労しました。でも、徐々にどんな風にお客様にアプローチしたら、どんなセールストークを使ったら購入してもらえるかなど、いつの間にか身についていきました。

購入をためらう要素は何か

商品の選択基準は

どんな問題を解決したくてゴルフクラブを探しているのか

いつしか、お客様のちょっとした行動・言動からその人の要求や心理状態をある程度把握出来る様になりました。実際、今日は買う気できているのか見ているだけなのか、目当ての商品はどれか、どのポイント(値段・機能・デザインなど)で迷っているのかなどは、お店に入ってきたお客様を数分間観察した時点で把握できていました。

なのでお相手に声を掛ける段階で、どういう段取りで交渉しようかある程度作戦が立っていたので、交渉を有利に進められるようになりました。

フィットネスクラブで活動するパーソナルトレーナーにとって、いわゆるこの『営業』は悩みの種だと思います。やったこともないゴルフ、何十万円もするゴルフクラブを販売していた自分にとっては、さほどその点については苦労はしなかったです。

でもすぐに・・・

『俺はもうモノ売りじゃない。売り込みをするのはやめよう。』

そう思いました。

売り込まず売る。そんな自分のやり方が少しずつ出来ていきました。