ジム・スタジオが出来るまで

いっそ・・・|ジム・スタジオが出来るまで⑮

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はじめのスタジオを作って二年目、私は別にジムの店舗を構えました。

目を付けていた物件は許可が出ず、急遽探した物件は当初の予算をオーバーしていました。それでも、私を信じて集まってくれたみんなと無事新しいスタートを切れることが嬉しく、スタジオでささやかなパーティーを開きました。

近くのお店からパエリアを届けてもらいました。同じ釜の飯を食う・・・そんな思いでした。

レッスン数も増え、スタジオの方は5人のヨガインストラクターさんたちが盛り上げてくれ、オープン以来初めて経験するような賑わいでした。

ところが・・・

肝心のジムが想像以上に苦戦していました。オープンからまだ間もないので仕方がないとはいえ、状況はかなり苦しいものでした。頭を抱える毎日でした。

『最初のスタジオだって、はじめは赤字続きだったじゃないか。落ち着け・・・』

毎日毎日、自分に言い聞かせていました。しかし、毎月の経費は以前の倍以上になっているのに売上はそれほど変わらないまま・・・本当に苦しい状況でした。

月末、テナント料の振込みをするときが最も憂鬱でした。預金通帳の残高を見て嫌な汗が出ました。

『どうする・・・どうしたら・・・』

真夜中、一人ジムに残ってパソコンに向かって計算していました。

・・・あとどのくらい生き残れる

季節は秋になっていました。コンクリートのままの床、大きなガラスが二面の店舗でしたから夜は本当に寒かったです。

スタッフルームを確保できなかったので、二つある更衣室の片方を休憩室代わりにしていました。やや広め、とはいえ更衣室です。休憩するには窮屈でした。ウェアを重ね着してもまだ寒いその場所で、必死で考えました。生き残る方法を。

深夜2時を過ぎた頃・・・突然激しい地震が襲いました。私は外に逃げ出し、どこをどう逃げたかわからないくらい走り回りようやく揺れが収まりました。

ジムに戻ると・・・ビルが倒壊していました。

『え?!』

その瞬間、目が覚めました。どうやら一瞬眠ってしまったようでした。

『なんだ、夢か。店はまだある。ああ、まだあるのか・・・』

店が無事。ほっとするべきところなのに、私は愕然としました。

『まだ試合続行中か・・・』

いっそゲームオーバーになってくれたら楽なのに、一瞬そんな考えが頭をよぎりました。

『バカか。逃げてどうする。逃げ道なんてないじゃないか。』

パソコンを片付け、ジムを出ました。

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