やらないよりまし・・・は、ない!

あ・・・やばい。そろそろ厚いコートを脱ぐ季節ですね。

『やらないよりましだよね?』

ダイエットトレーニングに関してお話していると、こんな言葉に出くわすことがあります。具体的には・・・

〇 テレビ見ながら、ちょっとでも運動すればやらないよりはましでしょ?

〇 一ヶ月に2~3回(のトレーニング)でも、やらないよりましでしょ?

といった具合です。

世間話程度の時は私も

『そうですね~』

と言うこともありますが、トレーナーとしてきちんと意見を求められた場合、答えは変わります。

『”やらないよりまし”は、私はないと思っています。』

と。(え~・・・と落胆されてしまいますが 笑)

なぜでしょう。

筋肉をつける場合でも

ダイエットでも

からだを”変化”させるには、その変化に見合った”刺激”が必要になります。筋肉をつける場合は、どのくらいの負荷を筋肉にどんな風に与えたかということが重要になりますし、ダイエットの場合はカロリー・栄養素を含め食事のコントロールが重要になります。

最近ではメディアでも ”正しいトレーニングとはなにか” を論じられるようになりました。非常にいいことだと思います。

使っている筋肉を意識しないと効かないんでしょう?

正しいフォームでやらないと意味がないんでしょう?

そんな風におっしゃる方が増えました。正しいんですよ、これ自体は。でもね・・・

どのくらいの頻度で どんな刺激を どのくらいの期間与えるのが適切か

この部分って、あまり言われないんです。個人的にはこっちの方がよっぽど重要な要素なんじゃないかと思うんです。

個人差もありますし、目標によっても違います。けれど、適切な刺激を 適切な頻度で 適切な期間与え続けなければ変化は起きません。

なので上記のお話だと・・・

〇 テレビ見ながら、ちょっとでも運動すればやらないよりはましでしょ?

→テレビを見ながら出来るくらいの運動では刺激が足りない可能性があります。

〇 一ヶ月に2~3回(のトレーニング)でも、やらないよりましでしょ?

 

→変化を起こすには、刺激量が足りません。

なので、やらないよりはまし は、ないと思うんです。

では、適切な刺激 適切な頻度 適切な期間 ってどのくらいか?ということになります。個人差もありますし、目標によって変わるのであくまで一般的なお話ですが・・・

例えば、筋肉をつけたいという場合なら、週3~4回くらいの頻度で12~15回くらいで限界が来る重さで3~4セットくらいの筋力トレーニングを行う必要があると思います。期間は、6~8週で少し変化が現れるくらいだと思います。

これはあくまで適切なトレーニングが行える程度の体力がある方のお話で、現在全く運動習慣がない方ですと、まず下地(基礎的な体力・柔軟性など)を作る期間も必要なので、更にもう数週間余裕を見る必要があると思います。

筋力アップでもダイエットでも、最低3ヶ月は続けて欲しいと個人的には思います。これはよく言われることですが、3ヶ月程度継続したことはその人の習慣になりやすいからです。

一ヶ月だけ極端な食事制限をしても、身体的にも精神的にもそれは特別な期間・イレギュラーなことだとしか認識しないと思うんです。その人の習慣にならない。だからリバウンドしてしまうんです。

そしてもう一つ考えて欲しいのが、適切な刺激を 適切な頻度で与えても 変化するまでは時間がかかる、そしてそこには個人差がある、ということ。

人はついつい正比例で変化が起こると想像してしまいます。

ウォーキングを始めたから、一週間後には歩いたカロリー分の体脂肪が減るだろう。

ケーキを食べるのをやめたから、そのカロリー分の体脂肪が減るだろう。

こんな風に。

仮に、その人にとってウォーキングを始めたことや、ケーキをやめたことが適切な刺激だったとしても、変化が現れる(=体脂肪が減る。)まではかなりの時間がかかります。そして、その期間その刺激を与え続けなければいけません。

体脂肪が減るという変化を、バケツから水があふれると置き換えてみます。

どんなに水を注いでも、はじめのうちは全く変化しません(=水があふれない)。バケツのふちに水が達したときに、はじめて変化が起こります。

身体に起こる変化もこれと似ていて、どんなに刺激を与えても(たとえそれが適切でも)変化を起こすレベル(=バケツのふち)まで達しないと変化が起きないんです。(シグモイド曲線

もちろん、途中で水を注ぐのをやめたら変化は起きません。また、バケツに水を溜めるのと違って、途中でやめたらまたはじめからやり直しです。(バケツの水も少しずつ蒸発しますが。)

適切な刺激を

適切な頻度で

適切な期間

与え続ける

こんな大変そうでつまらないことは、雑誌やインターネットではあまり出てきませんよね 笑

でもね、習慣化しちゃえばダイエットなんて簡単。というかダイエットそのものがいらなくなるんですよ。

ゴールとスタート①

新潟から毎週末東京までパーソナルトレーナーの養成に通いました。雪の降る頃でした。

私は体育の短大を卒業したのですが、なにせもう20年以上前。その当時は”パーソナルトレーナー”なんて、まだ影も形もありませんでした。

当時トレーナーといえば、”アスレチックトレーナー”を示しました。チームに帯同し、テーピングやアイシングなどを行うのが主な役割でした。

短大で運動処方なんて科目を習うのですが、その時から ”運動を薬のように処方し、その人のからだをよい方向に導きたい” そんな風に漠然と思っていました。 なので、アスレチックトレーナーという職に憧れはするものの、どこかしっくりこなかったんです。

私のイメージに近い職といえば、当時では理学療法士さんでした。しかし、短大を出て更にもう4年間・・・自分の進む道が分からなくなりました。

卒業と同時に地元・新潟に戻り、少しの間アルバイト生活をしていました。当時はバブルがはじけて就職氷河期といわれはじめた時代。両親も ”早くちゃんと就職しろ!” という風に急かす事もありませんでした。

なんとなくやりたいことがはっきりしないまま、スポーツ用品店のアルバイトを始めました。シューズやスキー・スノーボード用品などなんでも扱う、いわゆる量販店というお店でした。

もともと、からだやスポーツには興味があったので仕事自体は楽しく、7年ほど勤めました。

しかし、長く勤めていくとある種の限界を感じるようになりました。あぁ、自分はこの仕事では “上” にいけないな、と。モヤモヤを抱えたまましばらく働いていました。

そんなある日・・・通っていたフィットネスクラブのスタッフの男の子と、トレーニングの合間に少し会話を交わしました。地元で唯一の体育系の専門学校の生徒さんでした。

『自分はパーソナルトレーナーになりたいんです。』

若く、キラキラした目で話してくれました。ん?パーソナルトレーナーって??私がその名前を聞いたのはその時が初めてでした。

『パーソナルトレーナーっていうのは・・・』

楽しそうに話してくれる彼の説明を聞きながら

『あぁ、ここに答えがあったのか。』

大げさなようですが、自分がずっと追い求めていた答えにようやく出会えた、そんな瞬間でした。

自宅に戻り、当時まだ今ほど発達していないインターネットであれこれ探しました。そして・・ “パーソナルトレーナー養成。5周年記念特別価格!” の文字を見つけました。その養成を開いている団体は、トレーナー養成の老舗ともいえるところでした。即決。すぐに申し込みました。

当時はスポーツ用品の販売と並行してマッサージの仕事を始めていました。いつか自分の店を持つために、更に夜中に居酒屋さんでもバイトしていました。

深夜のバイトを終えた次の日、朝イチの新幹線で東京に向かう・・・雪の新潟を出て、着いた東京は少し暖かく感じました。

養成も後半に入った頃、他の参加者の人とも顔見知りになっていました。あれこれ話すうちに “養成でたらどうするの?” なんて話に。そう、とりあえず発作的に飛び出してきたので、養成が終わってからどうやってトレーナーとして活動するかについてはまったく考えていませんでした。

実は、フィットネスクラブでのアルバイト経験すらなかったのです。今思えば、気持ちいいくらいの無計画(笑)

『あ、それなら・・・』

一緒に養成を受けていた方が提案してくださいました。

『うちの会社が新しく店舗を作るんだけど、たぶんまだスタッフ足りないから、よかったら紹介しましょうか?』

その方はフィットネスクラブの社員さんでした。

『本当ですか?!よろしくお願いします!』

実は、かなり田舎者で臆病者の私。生まれ育った新潟を出たのは短大の2年間だけ。”東京” というだけでなにかよく分からない恐れを感じていました。

しかし、新潟にいては “パーソナルトレーナーになる” という自分の夢はかなわない。

飛び出す覚悟をしました。

借金は才能

あなたは ”借金” と聞くと、どんなイメージを抱くでしょう?ポジティブなイメージを抱く人は少ないかと思います。

身内の恥をさらすようですが、私は父が借金を作って家庭内が荒れたことがあったので、かなり借金に対してネガティブなイメージがありました。

フリーランスのパーソナルトレーナーになったとき、会社に”雇われない”で生きることがかなり不安でした。

『明日お客様が0(ゼロ)になったらどうしよう・・・』

いつも頭にはそんな不安があったので、借金やローンを組むことが怖くて出来なくなりました。乗っていた車が壊れてしまい、代わりの中古車を購入した時は、契約後に怖くなって何とか解約しようとしたほどでした。総額30万円くらいだったはずなので、車としてはかなり安かったのですが(笑)

自分のスタジオを始めよう、そう決めて自己資金を貯めてはいましたが、全額自己資金でまかなえるほどではありませんでした。

最初のスタジオを作る時、私は政策金融公庫の融資に失敗しました。実績もない、事業計画書の書き方さえ分からない、そんな状態でしたので今考えれば当然の結果でした。(ジム・スタジオが出来るまで

どうしていいのか分からず、消費者金融から借りようか考えたほどでした。しかし、借金することが怖い自分。問い合わせの電話をする手が震えていました。結局消費者金融には申し込めませんでした。

困り果てて気付きました・・・

『父はお金を借りることが出来たんだ・・・』

父親は公務員で定年まで勤め上げていました。お金を貸す方としては信用出来る相手でしょう。一方、これから事業を始める、まだ実績もない私。そんな私には誰もお金を貸してくれない。そうか、借金できる能力がないんだ、と。

お金を借りることが出来る、それはつまりお金を調達する能力があるということで、経営者として大切な能力なんだと思います。

同時にそれは “お金を返す能力がある”  と相手が信用してくれるという事。信用される実績・根拠が示せるということなんだと思います。

資金を安定して調達することが出来れば、商売において大切なタイミング・スピードが得られる。

何かを買うためにするような”借金(ローン)”と事業においての”資金調達”は違う。

経験してみてようやく分かりました。

逃げ道|ジム・スタジオが出来るまで④

融資の審査結果を待ちながらも、スタジオの準備を続けていました。すでに一度融資を断られている身。祈るような気持ちで毎日を過ごしていました。

資金のめどがつかない。けれども必要なものは買わなければいけない。残り少ない資金から毎日必要な備品を買い揃えていました。100円使うのもためらう日々・・・ある日、買出しに向かったホームセンターでお腹がすき過ぎて目が回ってしまいました。

『安くてカロリーのあるもの・・・』

普段なら避けるであろうジャンクフードも、このときばかりは食べざるを得ない状況でした。

必死な毎日は続きました。そして、融資の結果より早く最初のスタジオの内装工事は終了しました。

審査を待っている間は提出した見積もりにあるものは購入できません。エアコンが買えないままでした。

内装工事は終わりましたが、まだまだ作業は山盛り・・・昼間フィットネスクラブでの業務を終え、夜に自分の店に行き作業。時には深夜3時過ぎまで作業し、一旦家に戻り朝の8時にはまた自分の店で作業を始めていたりしました。

エアコンのない店。9月の終わり頃でしたが、夜はかなり寒くなっていました。照明もまだ少なく薄暗いスタジオ。急場しのぎの電気ストーブにあたりながら、コンビニの200円のわびしいお弁当。それが更に半額になったものを一人食べていました。

ふと襲ってくる絶望感・・・裕福ではなかったけど、何不自由なく暮らしてきた自分にとって初めて感じる孤独と絶望でした。

『本当にこれで正しかったのか・・・』

そんな思いが込み上げてきました。逃げ出せるなら逃げ出したいと何度思ったことか。

『もう引き返せない。引き返す道なんてない。』

店をやると決めた時点から、フィットネスクラブでの活動を減らしていました。弱い自分。退路を断っておかないと簡単に逃げてしまうことは分かっていました。

マンションの一室で隠れ家的に、そんなやり方もあったでしょう。でも私は、一階路面店にこだわりました。それも逃げ道をなくすためでした。

どんなに不安だろうが絶望しようが、もう引き返す道はない。自分でそんな状況を作り出していました。逃げ出さないため・・・

今思えばたいしたことではなったのですが、その時は本当に追い詰められました。当たり前の順番を間違ったこと。しかし、今思えばもし間違っていなかったら、逆に店はオープンしていなかったでしょう。

『お金借りられなかったからしょうがない。』

自分が逃げる”言い訳”を得て、あきらめてしまっていたでしょう。

薄暗く寒い自分のスタジオで、一人孤独と不安に耐えながらわびしい弁当を食べた経験は、自分に色々なことを教えてくれました。あの経験がなかったら今の自分はない。ないです。

変な集客方法~選んでもらう理由があるか~

『あ、このトレーニングはここがポイントです。ここをこうすると効いてくるでしょ?よかったらパーソナルトレーニングやりませんか?今ならちょっと割引で・・・』

もしあなたがフィットネスクラブに通っていたら、こんな風にトレーナーに話しかけられたことはないでしょうか?

フィットネスクラブ時代、こんな調子で営業をしたりチラシを配ったりするトレーナーがいました。もちろん私も最初はそうでした。でもある時・・・

『トレーナーさんに話し聞くとお金取られるんでしょ?』

とお客様から冗談っぽく言われました。

あなたがフィットネスクラブでトレーニングしていると想像してください。突然見知らぬトレーナーが寄ってきて親切にアドバイスしてくれました。しかし最後に・・・

『じゃあ、パーソナルトレーニングやりませんか?もっと効果が出ますよ!』

なんて営業が始まったら、なんだ親切じゃなくて押し売りか、って気になりませんか?

私は元はスポーツ用品の販売員でした。セールスすることには慣れていたので、私も始めはそうした営業をしていました。でも・・・

『これじゃお客様からしたら親切の押し売りじゃないか。』

そう感じて以来、営業(売り込み)をしないと決めました。お客様は週に何回もフィットネスクラブにいらっしゃる。何をするため?もちろん運動をするためです。それなのにクラブに来るたびに私たちの営業トークを聞かされたら・・・邪魔くさくてしかたないだろう、と。

『もう自分はモノ売りじゃない。今日から営業はしない。』

そう決めました。そんなことしたら売り上げ下がるんじゃ・・・あなたはそう思いますか?

自慢出来るような話ではないのですが、私の売り上げは所属したジムの中ではいつも1・2番でした。カリスマトレーナーかって?いいえ(笑)私はどこにでもいるトレーナーです。プロ選手やモデルを担当したなんてこともありません。

売り込まないで売る。そんなテクニック本やセミナーもありますね。くだらないので見たことも参加したこともありませんが(笑)

私がやっていたのは、ごく当たり前のことばかりでした。

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お客様に笑顔で挨拶をする

いつもクラブにいる

お客様を観察し、必要なアドバイス・サポートをする

お客様が必要とする知識を学ぶ

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当時(今もそうかもしれませんが)、フリーランスのトレーナーは何店舗も掛け持ちで活動していることが多かったんです。この時間帯はお客様が少ないから移動して別の店舗で・・・といった具合で、仕事の効率化を図っていた。

でも、そうするとトレーナーがいない時間帯が出来るんです。私は始めはトレーナー兼クラブスタッフだったので、活動時間に制約がありました。なので、せっかくお客様がパーソナルトレーニングを希望されても『すみません。今トレーナーがいないので・・・』と言わざるを得ないことが多々ありました。

これは販売員だった私としては、口が裂けても言いたくない言葉でした。お客様が欲しがっているのに売れない。しかも、自分という”商品”はここにあるのに。なんて申し訳ない・・・何度も悔しい思いをしていました。その時から決めていました。

『俺がフリーランスのトレーナーになったら、トレーナーのいない時間は作らないぞ。』

フィットネスクラブは15時~18時くらいがもっとも会員さんが少なくなります。当然トレーナーもいなくなります。私はひたすら自分の所属店舗にとどまりました。(まあ、地方出身で電車移動が苦手だったのもあるのですが 笑)

そのうちに・・・

『近藤さんはいつ来てもいるね。ここ(クラブ)に住んでるの?』

なんてからかわれるようになりました。

フリーランスのトレーナーは、箱(店舗)という実態はないのですが、一人ひとりが店舗なんだと思うんです。ところが、そういう感覚の人は少なかったように感じます。

先にあげた私の行動。実は、普通にお店を開いていたら当たり前のことばかりです。

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お客様に笑顔で挨拶をする 

→ 説明不要ですよね。当たり前のこと。

いつもクラブにいる 

→ そこに”店”がなかったらお客さん来ません、買えません(笑)

お客様を観察し、必要なアドバイス・サポートをする

→ 上手な接客は親切。下手な接客は迷惑。セールスばかりされたら安心してお店にいけませんよね。

お客様に必要な知識を学ぶ

→ お客様の欲しがる商品を仕入れる。

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普通にお店を開いたら、当たり前のことばかり。なのに、形態が違うから見えなくなってしまうんです。ある時、トレーナー陣が売り上げが悪いと悩んで、事務所で作戦会議ばかり開いていたことがありました。私も何度か参加させられました。でも、内心・・・

『売り上げ上げたきゃ、お客さんに挨拶して回ってきたらいいのに。』

と思ってました。他のトレーナーは私がイベントやキャンペーンなどに協力せず、無策でいることにイライラしたようでした。でも、私は決して無策ではなった。その当時はそうとは意識していませんでしたが、結果として目に見えない策を張り巡らしていました。

『お客様にとってコンビニエント(便利)であること。』

そこに商品がなければ売れませんよね。

同じ商品なら笑顔の人から買いたいですよね。

高額な商品なら顔や仕事ぶりを知っている人から買いたいですよね。

自分の欲しい商品のあるお店で買いたいですよね。

笑顔で、セールスせず、気軽にいつでもちょっと相談が出来る・・・自分はそんな”店”になろうとしていました。